学科の就職率

第2回ブログ担当の村上です。

学科の就職率、すごく高いよ ってお話をいたします。

私は人事の流動化を先取りした組織にいてしまったおかげでいろんな大学を渡り歩きました。メーカー勤務時代も出向で多数の同業者が集まる研究組合にいたので、サンプル数1ではない、いろんな内情を見てきた経歴があります。そこで、やや他人事のようないい方ですが、本学に来てみて、特に電気電子工学科の就職率の高さに驚かされました。
ちょっと嫌な言い方ですが、これって実は何か裏があるんじゃないか、と疑いつつ、いろんな会議や資料を斜めからも読んでみて、自分が納得できるように頑張ってみました。それで分かったことは、それほど裏がない、ってことでした。むしろ学生の立場からすれば、結構お得な状況、ってことです。

順を追って説明します。
「就職率」って、(就職した学生数)÷(卒業生数)と思いますよね。ちょっとだけ違うんです。よくある言い方で2つの計算式があります。文科省に提出する就職率と、週刊誌などで表現されるときの実就職率です。話がややこしくなるのは卒業しても就職していない人が3種類あるからです。A.就職希望だけどどこにも就職できないまま卒業した学生。B.大学院に進学した学生。C.いろいろあって進学も就職もせず卒業した学生。文科省は(卒業生数)からBやCを引きます。週刊誌はBしか引きません。実際Cの学生は数人いたりするので分母が小さくなる文科省数値が高くなります。たぶん「あの大学に行っていいのか?だいじょうぶなのか?」と考えたいみなさんは週刊誌の数値の方が知りたい数字ですよね。でも、とりあえず学科説明会のような外向きの場では、高い方の就職率で語りたくなるものです。私も学科長だったときは当然高い方である文科省報告用の数字で説明していました。そしてここで、汚い大人のテクニックを思いついてしまうんです。Aの就職できない学生を、Cの就職しない学生と言っていまったらいい、とかいうテクニックです。ただそういうの、私は良心が咎めるし、わざわざそんなことを提案して回りの失笑を買いたくもないので、その意味では何もしませんでした。どちらかというと、私じゃないだれかが姑息にがんばっていて、(文科省向けの)就職率を挙げているんじゃないか、とかいろいろ疑ったりしてみました。でも就職支援の会議では「数字を上げることが目的ではない」と頻繁に強調されます。100%とか逆に怪しいよね、と思っても特に裏が出てこない。
そもそも、本学は週刊誌向け実就職率でも高いんです。無茶苦茶高い。なぜでしょう。

まずは就職支援に熱心だから。大学全体で手厚く盛り上げているので、在学していれば就活してしまう雰囲気が他大学より強いです。一部強制参加のイベントもありますが、むやみに就活を強要しているんじゃなくて盛り上げる感じで頑張ってます。学科の就職の委員だったとき、会議やイベントで「ここまできめ細かにやるのか、すごいな」と何度も思わされてました。
さらに学科全体のノリ。いろいろ手厚いです。就活だけじゃなくていろいろ。何が、という単発の話じゃなくて、学生に向き合っている時間や労力が半端ない。これで学生のレベルが上がる。
そして地域の特性。静岡県は首都圏と中京・近畿に挟まれる立地と、歴史的な面も手伝って電気・機械系のメーカーが多く、その反面で大学で若者が流出する傾向がある。なので、求人が多く、志願するライバルが相対的に少ない。申し訳ないくらいありがたい状況です。

もうひとつ朗報! 近隣の、偏差値的にそれなりにいい大学卒業でも、そこで成績が真ん中より下だと、このクラスの会社には行けないよね、という会社に、うちの上位の学生が食い込んで採用されています。高校卒業時点の成績とかから言えば大逆転と思えるようなことが何度も起こります。「鶏口となるも牛後となるなかれ」ってことわざの体現だなあとしばしば思います。いい大学4年間を過ごせるかってのも大事ですね。

でも一応もう一つ聞いてください。退学を決めた学生と話していて、なぜやる気がなくなったのか、そもそもなぜこの大学、この学科に来たのか聞いてみると、高頻度に「親や先生に勧められて、就職に有利って言われて、とくにそれ以上考えませんでした…」という雰囲気の答えが返ってきます。まぁ大学を選ぶ時点で将来の夢を明確に見据えている人の方が珍しいので気にしすぎることはありません。ですが、そういう実利だけで動いていると、肝心なモチベーションを見失いやすいみたいです。みなさんには、あれを作りたい、それを自分の仕事としたい、という気持ちがあってほしいです。そのうえで私たちが選ばれる大学、学科でありたいな、と思います。

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