携帯電話の過去未来

学科サイトリニューアル後,最初のコラムを担当します本良です.

着任して4年目になりますが,着任時は全国的にコロナ禍の真っ只中でした.
前任地の宮城県は緊急事態宣言が出ており,着任の挨拶の第一声は「危険地帯からすみません」でした.
今年度の新入生は高校生活などで様々な制約を受けていたと思います.
コロナが5類に再分類され,晴れて制約のない大学生活をスタートされる皆様に心からお祝い申し上げます.

さて,私の専門は無線通信回路,無線技術や電波伝搬など,無線に関するコトモノ全般です.
研究室では,5Gの次の世代(6Gや7G)などの高速無線通信,商品管理などに用いられる無線IoT通信,電波によるセンシングや加熱技術,
無線でエネルギーを送る・得る技術など,通信だけでなく社会を豊かに安全にできる“無線”の可能性を研究しています.

無線通信と言えば”携帯電話”が身近な代表の1つです.
今現在高校生大学生の皆さんにとって生まれたときからスマートフォンが当たり前だったかと思いますが,
実は携帯電話の歴史は意外と短いのを知っていますか?


私は1980年代の生まれですが,物心ついたころ電話と言えば家にある固定電話か街角の公衆電話でした.
中学生になった頃,ポケットベルが全盛で同級生の間でも,学校の休み時間中の公衆電話利用が禁止されるなど流行っていた(ようです).
中学後半ではPHSなどが目につくようになり,また,高校の頃に携帯電話でi-modeのサービスが開始され携帯電話が一気に広まっていきました.
そして90年代後半から2000年代に掛けてスマートフォンが登場し,情報端末としてインターネットから情報を取り出し,
または自分の情報を発信できる,生活に必要不可欠な存在になりました.
思えば,第1世代携帯電話(1G)と同年代の生まれであり,2G/3G/3.5G/3.9G/4G/5Gと年(世代)を重ね,思えば携帯電話の進化と共に育ったようでもあります.
一家に一台の固定電話が,一人一台になり,パソコンと同等の情報端末の機能も含むようになり,これからも進歩していく物と思います.

5Gの登場は2020年頃ですので,40年程度で世代を4つ重ねたことになります.
1985年発売の携帯電話(ショルダーフォン)と2023年発売のスマートフォンを比べると,
重量は94%減/通信速度は96万倍(推定)/連続待受時間は10倍と,「より小さく軽く,長く使え,高速・高機能に」なっています.
ちなみに,ショルダーフォンは重さは約3kg,本体はレンタルのみで保証金約20万円・月額基本使用料が2万円強,通信料金は1分100円だったらしいです.

比較すると劇的に便利になっているのが分かるかと思いますが,10年ほどの周期で大きな技術開発があり,世代が1つ1つ進んできたということです.
つまり,2030年代前半には5Gの次(ポスト5G)が世の中に広まっていくとも考えられます.
それはすなわち,今現在高校生の皆さんが社会人になるころです.

次の「携帯電話」にはどんな技術が使われ,どんなコトができるようになっているのでしょう?
研究室や無線通信に関する学会では,盛んに“6G”の未来像の議論が行われています.
是非一緒に考えてみませんか???


(写真はNTT・ショルダーホン100型です)